スーパータロム

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スーパータロム」は、ナック制作のパイロット版アニメ。

概要[編集 | ソースを編集]

左からタロム、ルビー、ファイター

DVD「アニメの王国」版「チャージマン研」及びBlu-ray「想い出のアニメライブラリー 第125集 チャージマン研!」に収録。

どことなく手塚治虫氏の「鉄腕アトム」っぽいのは、手塚氏の版権の問題[1]でアトムを初めとする過去作品の再アニメ化が不可能となっていた1972年当時に、虫プロダクション出身者であるナック社長の西野くんこと西野清市氏に「スーパータロムで鉄腕アトムの夢を引き継ぎたい」という意思があった為である。

しかし、肝心の出来は出落ち・超展開・空耳等とナッククォリティ全開であり、チャー研や同じパイロット作品である「透明少年探偵アキラ」に勝るとも劣らない突っ込み所満載の内容である。そのため、チャーケニストからは「劣腕アトム」と揶揄される事が多い。

とは言え、本作はBGMが既存のナック作品からの流用だったアキラとは違い、既に主題歌やBGMが作られており、結構な資金をかけて製作された事が窺える。

当時の事情を知る真佐美ジュン(下崎闊)氏によれば、本作の原画(及び演出)を担当したのは田中英二氏ではなく実際にアトム等数多くの手塚アニメに携わっていた杉山卓氏だという。

だが、杉山氏が妥協をせずに作品を作り上げた結果、1ヶ月の予定だった制作期間が2ヶ月まで延びた上に、パイロットフィルムにしては異例の23分という長さに仕上がった事により予算オーバーとなってしまった為、慌てたナック側が杉山氏を初めとする制作スタッフが去った後に無理矢理10分程に縮めた結果、「アニメの王国」に収録されている10分版タロムが仕上がってしまったらしい。[2]

結局上記の理由に加え、この作品に買い手がつかなかった事により、以降ナックの資金繰りがかなり苦しくなってしまったらしい。

その後、1977年にタロムと同様の経緯で東映動画により制作された「ジェッターマルス」が放映され、1980年にアトム自体が再び放映される運びとなるが、皮肉にも「アトムの夢を引き継ぐ」はずであったタロムが日の目を見たのは、制作から数十年後に「アニメの王国」の一編として発売されてからであった。

「チャージマン研!」の変装後の泉研バリカンのデザインは、この作品の登場人物であるタロムファイターに似ており、この作品がチャー研が制作されるきっかけを作ったのかもしれない。一部では「チャー研のパイロット版」とも噂されている。

元々正式にアニメ化をする予定だったからなのか、チャー研同様コミカライズ版が存在しており、秋葉原博士等といったオリジナルキャラクターが登場している。

ナック作品の中ではチャー研、アキラに次いで人気が高いが、「アニメの王国」のジャケットには何故かタロム関連のカットは一つも掲載されていないウソヨウソー

なお、本来の「杉山氏の本気」だった23分版タロムがどのような内容だったのかは、今となっては確認のしようがない…とされていたが、「想い出のアニメライブラリー 第125集 チャージマン研!」の特典ディスクにて念願(?)の23分版スーパータロムが収録。さらに2022年4月1日にはYouTube公式チャンネルが完全版タロムを公開。これにより、アニメの王国収録版では不明だった点がある程度判明されるに至った。

例えば時代設定もその一つであり、アニメの王国収録版では一切語られていなかったのに対して、完全版では日暮里博士を八丈小島まで送っていった船員の「八丈小島はここ30年来無人島[3]だで」という台詞や、西沢博士の「1999年までもう後何年もない」という台詞から、1990年代後半が舞台になっているものと推測される。

あらすじ[編集 | ソースを編集]

(完全版準拠)

約300年前に予言者「ノストラダム」が記した予言書によれば、1999年に天帝により火球が下されて人類は滅亡するという。これが何を意味するのか、予言は当たるのか否か、それらは誰にも分からない……。

海南市沿岸部が、突如防波堤が壊されるほどの高潮に襲われた。現地住民は、海上に海坊主のような影を見た。また別の海ではサンゴ礁を食い荒らすオニヒトデが大発生し、調査員は海坊主やオニヒトデに襲われた。

科学技術庁に勤める日暮里博士の下へ記者が取材に訪れた。近頃の海の異変についてのことで、日暮里は海底調査ロボの出動が決まったと答える。記者はこのネタをモノにすべく、しばらく事件の動向を伺うことにする。

自宅に届いた手紙を読んだ日暮里は、即座に八丈島へ向かった。出迎えたのは、手紙の差出人であり日暮里の親友である西沢博士。2人は海に沈む夕日を見ながら、若い頃にサイボーグの研究で競い合っていたことを語らう。その後に西沢は、新婚旅行で八丈島を訪れた時に海からの光に気を取られてバイク事故を起こし、妻・ユキコを喪ったこと、自責の念に駆られて人の世から離れて生きると決めたことを語った。末期癌で自身の命が長くないと悟った西沢は、予言に備えて30年かけて作り上げた3体の地球防衛用サイボーグ「ファイター」「ルビー」「スーパータロム」にそれぞれ自身の「闘志」「博愛」「正義」と生命を与え、後のことを日暮里に託して亡くなる。その後、3人は日暮里夫婦の実子として暮らすこととなった。

調査ロボが出動する日が来た。最初は順調に調査していたロボだったが、カイザーが乗る潜水艦からの電波妨害を受けて暴走し、近くの貨物船を転覆させ、暴走原因の調査に向かったセスナも撃墜してしまう。更には原子力船「まりも」までも襲われる可能性が出た。日暮里はタロム達に彼らの出自を明かし、ロボットへの対処を頼み込む。3人によって原子力船は救われたが、潜水艦から現れた海坊主のような影にタロムが囚われてしまう。ファイターが潜水艦に突撃を食らわせたことでタロムは解放され、潜水艦は撤退した。それでも調査ロボは暴走し続け、近くの島を襲い始める。ルビーから念力受信装置がロボの弱点だと教わったタロムはアルファースルーを放ち、2発目で受信装置を破壊してロボットを停止させることに成功した。

無事に帰り着いた3人に、日暮里は夕日を眺めながら語る。地球を悪人から守るためには3人の力が必要だ、と。そして3人を生み出した西沢へ感謝の言葉を捧げるのだった。

みんなで歌おう! スーパータロムの歌[編集 | ソースを編集]

タロムのテーマソングを参照。

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. 当時の虫プロダクションにおける版権トラブルの件だと思われる。詳しくは各々検索だ。
  2. 出典:真佐美ジュン「チャージマン研 スーパータロム」
  3. 現実の八丈小島はかつては有人島であったが、生活の困窮を理由とした集団離島が行われ、1969年以降無人島となっている。

関連項目[編集 | ソースを編集]

外部リンク[編集 | ソースを編集]